帰り矢の教え
帰り矢の教え
弓を一杯に引きしぼって、天の中心を目指し、ひょうと矢を放つ。矢は真っ直ぐ天心へ向かって、ぐんぐんと上昇して行く。だがやがて力尽きると、くるりと下へ向かって落下してくる。
そして、最初の狙いが天心を目指して正確であればあるだけ、もとの弓を射た者の場所へ落ちてきて、その射た者に矢は突き立つのである。
矢が上昇して行く間、それはプラスのエネルギーが発揮されていることを示している。すなわち、それは「得」の時間である。しかし、矢が下へ向かった瞬間から、それはマイナス(損)のエネルギーに変転する。
矢の狙いが正確であればあるほど、そして、より高く飛べば飛ぶほど、落ちてくる時の矢の力は強力なものとなる。すなわち、それは欲望の強さである。
そして、弓を射た者に深く突き刺さるのである。この場合、プラスのエネルギーが強いほど、マイナスのエネルギーも強くなり、それは彼にとっての大きな災難となる。これが、帰り矢の原理である。
しかし、朗報もある。それは、この帰り矢の災難も。散銭をもって避けることが出来るということだ。